RPE(北野幸伯さんのメルマガ)研究室

RPE備忘録と政治・思想哲学・宗教などの思索

★米中貿易戦争、日本への影響は?

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


(●全国民必見!

なぜカリフォルニアの日本人児童はいじめられるの?
理由を知りたい方は、是非こちらをごらんください。

https://youtu.be/edBqITgBD_Q    )

 

世界では今、主に三つの争いが起こっています。

一つは、北朝鮮

こちらは、北が「非核化する準備がある」と宣言したことで、落
ち着いている。


二つ目は、欧米とロシアの争い。

これまで何度も触れました。

イギリスで3月4日、英ロダブルスパイだったスクリパリさん殺
害未遂事件が起こった。

化学兵器が使われた」ということで大騒ぎになり、欧米25カ
国がロシア外交官を追放した。

ロシアも、23か国の外交官を追放しました。


三つ目は、日本でも大騒ぎしている「米中貿易戦争」。


今回は、これについて。

時系列に流れを追ってみましょう。


・3月5日、第13期全国人民代表大会開幕

・3月11日、全人代、「国家主席任期」を撤廃する憲法改定案
を可決。

これまで、中国の国家主席は、「1期5年」「二期まで」と決め
られていた。

憲法改定後は、「1期5年」は変わりませんが、3期でも10期
でもできるようになる。

つまり習近平は、「終身国家主席」になる道を開いた。


これ、どうなんでしょう?

私たち民主主義国家の国民から見ると、「異常な状態」です。

欧米の指導者たちは、表だってこの決定を批判していません。

しかし、彼らは私たちと価値観を共有しているでしょうから、心
の中で、「習近平は、頭がおかしくなったか!?」と考えている
可能性は大いにある。

この決定が、「貿易戦争」が開始された一つの要因かもしれませ
ん。


国際関係では、「因果関係が明確でない」ことがしばしばありま
す。

たとえば、2015年3月、「AIIB事件」が起こった。

その後、アメリカは、中国の「南シナ海埋め立て」を強く非難し
はじめました。

アメリカはこの問題を2年間放置していましたが、突然関心をも
ちはじめたのです。

私たちは、直接的な証拠はなくても、時系列にできごとを追うこ
とで、「これが、影響を与えたのかな?」と推測することはでき
ます。

習が「終身独裁者」になる意志をはっきり示したことで、アメリ
カが「制裁しよう!」となった可能性はあります。


・3月22日、貿易戦争勃発

トランプはこの日、500億ドル(約5.3兆円)相当の中国製
品に関税を課すことを、通商代表部に指示する文書に署名しまし
た。

また23日、鉄鋼、アルミ製品の関税が引き上げられた。


・3月23日、中国「報復措置」を発表

中国商務省は23日、米国産品30億ドル(約3100億円)
分の輸入に追加関税をかける報復措置計画を発表しました。

「アメリカと比べるとずいぶん額が少ないな」と思いますが、こ
れは、

「鉄鋼、アルミ関税引き上げ」に対する報復措置「計画」です。

そして、対象は、米国産農産物がメイン。


・3月26日、金正恩、北京を訪問し、習近平と会談


・4月2日、中国、報復関税発動。

これは、アメリカの「鉄鋼、アルミ製品関税引き上げ」に対す
る報復措置です。


・4月3日、アメリカ、制裁対象品目を発表


<米、新たな対中制裁案公表 知財関連1300品目を標的、
総額5.3兆円

Sankei Biz 4/5(木) 7:15配信

米通商代表部(USTR)は3日、通商法301条に基づき、
米国の知的財産を侵害する中国への制裁措置として追加関税を
課す中国製品目リストの原案を公表した。

情報通信や航空宇宙などハイテク製品を主な対象に約1300
品目、総額約500億ドル(約5兆3000億円)となる。>


・4月4日、中国、報復措置を発表

 

<中国は4日、米国からの輸入品約500億ドル相当に25%の追
加関税を課す計画を発表した。

対象には大豆や自動車、化学品、航空機などが含まれる。

米政権は前日、中国製品500億ドル相当に知財制裁関税を課す
計画を明らかにしていた。>

ブルームバーグ 4月6日)


今度は農産物だけでなく、自動車、化学品、航空機が含まれ対
象が拡大しています。

これに対してトランプは?


・4月5日、トランプ、中国への追加関税検討を指示


<トランプ米大統領は5日、中国製品に対する1000億ドル
(約10兆7000億円)規模の追加関税を検討するよう米通
商代表部(USTR)に指示したことを明らかにした。

中国の「不公正な報復」を踏まえた措置としている。>

(CNN.co.jp 4月6日)


とりあえず、これまで起こったことを簡潔にまとめると、↑こん
な感じになります。


トランプが「制裁する!」といい、中国が「報復する!」という。

そして、トランプが「さらに制裁する!」といい、中国が「さら
に報復する!」という。

対立が、どんどんエスカレートしている。

 

▼日本への影響は?

 

産経新聞4月5日は、米中貿易戦争が日本に与える影響について書
いています。


経済協力開発機構OECD)によると、米国が共同歩調を求
める欧州連合(EU)も関税引き上げに踏み切り、米中欧の貿易
コストが10%高まった場合、世界の貿易量は6%、世界のGD
Pは1・4%押し下げられる。

主要国が同時成長を遂げた世界経済は、腰折れの危機に立たされ
ることになる。>

 

世界GDPは、1.4%押し下げられるそうです。

 

<日本経済への影響はさらに大きく、第一生命経済研究所の永浜
利広首席エコノミストは「米中欧が関税を引き上げた場合で2・
1%、米中だけでも1・4%程度、GDPが押し下げられる」と
試算する。>(同上)

 

中欧が関税を引き上げれば、日本のGDPは2.1%押し下げられる。

米中が関税を引き上げれば、日本のGDPは1.4%押し下げられる。

 

<日本からの主要輸出品は米国向けが自動車や関連部品、中国向
けがスマートフォン向けの電子部品。

貿易減で米中景気が後退すれば真っ先に耐久消費財が買われなく
なるため、日本からの輸出は大きく減る。>(同上)


日本から米中への輸出が大きく減る。


<また市場のリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる円が買
われれば、足元で1ドル=106円台の円相場が「100円を切
る水準まで円高が進むかもしれない」(永浜氏)。>(同上)


円高になる。


日本製品は割高となるため輸出が落ちると同時に、株安が日本
国内の消費や投資意欲の減退につながる恐れもある。>(同上)


株安になる。


<民間予測では、平成30年度の日本の実質GDP成長率は、お
おむね1・2~1・3%程度だ。

しかし、貿易戦争が拡大すれば、「最悪の場合、マイナス成長に
落ち込む」(永浜氏)ことにもなりかねない。>


マイナス成長になるかもしれない。


OECDおよび
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの考えをまとめ
てみましょう。


・世界GDPが1.4%押し下げられる

・日本から米中への輸出が減る

円高になる

・株安になる

・日本は、マイナス成長になるかもしれない


いいことがまったくありません。

そして、この予測は、「常識的で正しい」と思います。


とはいえ、こういう最悪の事態にならない希望はあります。

というのは、中国は既に、イスラエルを超え、「アメリカ最強の
ロビー集団」になっている。

それで、中国はトランプの取り巻きと議会への工作を進め、

米中貿易戦争を「骨抜き」にできるかもしれない。


実際、中国は1970年以降、深刻な米中対立を回避することに毎回
成功してきました。

今回も、「双方が面子を失わない形」で、矛を収める可能性が高
いと思います。

(そうならない可能性もありますので、最悪の事態を想定し、備
えを怠らないようにしましょう。)

一方で、西部戦線、つまり欧米とロシアの対立は深刻に見えます。


●PS(★キンドル版もあり)

北野の新刊でました。


・発売4日で2刷、一か月で3刷決定!

・アマゾン、外交・国際関係部門、国際政治情勢部門、政治入
門部門、トリプル1位を達成。

これを読むと、中国驚愕の対日戦略のすべてと、それを無力化
する方法が全部わかります。

今、世界と日本で起こっていることの裏を知りたい方は、是非
こちらをご一読ください。

 

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う