RPE(北野幸伯さんのメルマガ)研究室

RPE備忘録と政治・思想哲学・宗教などの思索

★トランプは、なぜ安倍総理を名指しで批判したのか??

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


読者の斉藤さまから、興味深い質問をいただきました。

【メールここから↓】


<北野様

先日は、メルマガで私のコメントを
取り上げて頂き、ありがとうございました!

今回、別件で連絡をさせて頂きました。

今日のNHKのニュースを見てビックリしました。

-------------------------------------------
安倍首相は「出し抜いて笑み」=トランプ氏、対日貿易に不満

【ワシントン時事】「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。
『こんなに長い間、米国を出し抜くことができたとは信じられない』
という笑みだ」。

トランプ米大統領は22日、ホワイトハウスでの会合で首相につい
てこう語り、対日貿易赤字への不満をあらわにした。

トランプ氏は「偉大な男で、私の友人」と前置きして、首相の笑顔
を解説した。

その上で「こういった時代はもう終わりだ」と述べ、「互恵的」な
関係を求める考えを強調した。

https://www.excite.co.jp/News/world_g/20180323/Jiji_20180323X145.html
-------------------------------------------

ツイッターを見ていると、反安倍派の人達は、
「それみたことか」といきり立っています。

一方、私のような安倍首相擁護派にとっては、
かなりショッキングでした。

今まで親友と思っていた人が、いきなり
殴りかかって来たような感じですから。

そして、今まで盤石だった日米同盟にも、
不協和音が生まれるのではと心配もしています。

また、もしこの関税措置が実行されたら、
日本経済は深刻なダメージを受けてしまいますよね・・・

今回、トランプ大統領がこのような発言をした理由は、

●高めの見せ球を投げて交渉を有利にしようとするいつものト
ランプ大統領のDEAL!?

トランプ大統領が、ロビー活動に引っ掛かり安倍首相に対し
ても猜疑心を抱き始めた!?

中間選挙向けの支持層に対するリップサービス!?

●TPP加入で良い条件を引き出すための下準備!?

●安倍首相が何か失敗した!?

といろいろ考えられるのですが、
北野さんがどう思われるのかがすごく気になっています。

また、北野さんにとっても、今回のトランプ大統領の発言は
想定内だったのでしょうか?

この件に関して、気になっている方はとても多いと思うのですが、
もし、テーマ的に問題なければ、メルマガで北野さんの見解を
発信して頂けますとありがたいです。>

【メールここまで↑】


お答えします。

 

▼トランプさんは、「そういう人」

 

この件、まず「英語と日本語の違い」を知っておく必要があり
ます。

日本語は、多くの外国語に比べ、非常に繊細な言語です。

みんなが「なるべく傷つけないように」と、気を使いながら話
している。

できるだけ「直接的表現」「率直な表現」を避けるため、外国
人は、「日本人は何を考えているのか、何をいっているのか理
解できない」といいます。

日本語に比べ、ずっと直接的、率直な言語である英語。

二人が話をしているのを日本語に訳すと、「ケンカしているの
かな?」と思うことがしばしばある。

しかし、そうではなく、「率直にいいたいことをいっているだ
け」なのですね。

そして、お互い傷ついている様子もありません。

見た人がいれば、トランプとヒラリーのディベートがどれほど
ひどかったか思いだしてください。

私は何がいいたいのか?

英語で何か批判されても、日本の感覚より割り引いて感じる必
要があるというとです。

 

「率直な表現の英語」

中でもトランプさんの率直さは、尋常ではありません。


(例、チビデブロケットマン金正恩

トランプさんは、率直で攻撃的で、ある面ショッキングな表現
をすることで、勝ち残ってきた。

今まで、多くの指導者たちが「口撃」のターゲットになってき
ました。

だから、私は今回の発言、「それほど気にする必要はない」と
思います。

 

▼日朝首脳会談模索の復讐?

 

そうはいっても、安倍総理が、トランプさんの嫌がることを全
然しなかったかというと、そうではありません。

つい最近の話です。

トランプさんが、「金正恩に会う!」と宣言した。

現職のアメリカ大統領が北朝鮮のリーダーに会ったことはあり
ません。

実現すれば「歴史的事件」になります。


ところが安倍総理、「日朝首脳会談を模索する」とかいいはじ
めた。

私は、これをやると「日米関係が悪化する」と警告しました。


3月15日号でこう書いています。


<こういう人物が、「安倍総理は、金正恩との会談を模索して
いる」と聞けば、どう思うでしょうか?


「シンゾーが俺の手柄を横取りしようとしている!」


と考えるでしょう。>(RPE2018年3月15日号から)

 

そして、「日本はかつてアメリカを出し抜いて恨まれた過去が
ある」という例をあげました。

 

<冷戦時代の初期、アメリカは、共産党一党独裁国家・中華
民共和国を敵視していました。

しかし、ソ連が強大化してきたので、中国と和解することにし
た。


1971年7月15日、ニクソンは、「中国から訪問要請があり、そ
れを了承した」と発表。

アメリカ政府は、日本政府に何の相談もせず、発表内容を知ら
されたのは、その15分前だった。


日本政府は、大きな衝撃を受けました。

ニクソン訪中は、1972年2月。

日本では、田中角栄が72年7月、総理大臣に就任した。

彼は、同年9月訪中し、「アッ」という間に「日中国交正常化
を成し遂げてしまいます。

(ちなみに、米中国交正常化は、1979年。)

アメリカを出し抜こうとする田中総理に、キッシンジャーは大
激怒。


「ジャップは最悪の裏切り者!」


と絶叫したことが、明らかになっています。

共同通信2006年5月26日から。

 

<「ジャップは最悪の裏切り者」(解禁された米公文書より)
72年にキッシンジャー

【ワシントン26日共同】ニクソン米大統領の中国訪問など
1970年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領
補佐官(後に国務長官)が72年夏、田中角栄首相が訪中し
日中国交正常化を図る計画を知り

「ジャップ(日本人への蔑称(べっしょう))」

との表現を使って日本を「最悪の裏切り者」と非難していた
ことが、26日までに解禁された米公文書で分かった。>>

(同上)


<なにはともあれ、田中総理は、アメリカを出し抜いた。

それで、キッシンジャーは激怒していた。


そのキッシンジャーは今、トランプの顧問をやっています。


安倍さんが、トランプさんを出し抜いて金正恩に会うことを模
索していることを知れば、


「ジャップは、今も昔も裏切り者!!!!」


と絶叫することでしょう。>(同上)


(記事全文はこちら↓
http://www.mag2.com/p/news/353139  )


3月15日号で予想した通り、トランプー安倍の仲は、険悪にな
った。

私は、田中角栄の行動、安倍さんがやろうとしている行動につ
いて、

「アメリカを『出し抜こう』としている(ととられる)」

という表現を使いました。


時事の記事をもう一度見てみましょう。


<「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。

『こんなに長い間、米国を【 出し抜く 】ことができたとは
信じられない』という笑みだ」。>

 

トランプさんの発言が、「日朝首脳会談模索」に関係している
か、私にはわかりません。

しかし、「日朝首脳会談」は、「トランプを出し抜き、功績を
横取りしようとしている」

と嫉妬されても仕方ありません。

田中角栄さんの失敗から、総理は是非学んでいただきたいと思
います。

 

▼トランプの「安倍批判」は当然

 

ちなみに今回の記事は、「貿易不均衡」の話でした。

アメリカは、「恒常的貿易赤字国家」です。

アメリカの貿易赤字、そのほとんどは中国です。

しかし、日本は、2位なのですね。

トランプは、「貿易不均衡を是正する!」「貿易赤字をなくす
!」

と宣言している。

それで、真っ先に批判されるのは中国であり、その次は日本で
あるはずです。

皆さんご存知と思いますが、

アメリカは22日、中国製品への制裁措置を発表しました。


<米国>対中追加関税25%、大統領令に署名

毎日新聞 3/23(金) 11:08配信

◇中国が対抗措置を発表

【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領は22日、中国によ
知的財産権侵害や米企業への技術移転の強要に対抗して、米
通商法301条に基づき中国製品に制裁措置を発動する大統領
令に署名した。

最大で年間600億ドル(約6.3兆円)相当の中国製品に2
5%の追加関税を課す見通し。>

 

そして、トランプさんは、こんなことをいいました。

 

<トランプ氏は署名に先立ち、ホワイトハウスで演説し、対中
貿易赤字は「いかなる国同士の間でも歴史上最大の額だ。手に
負えなくなっている」と指摘。

「中国の人々や習近平国家主席は友人だ」としつつも、対中貿
易不均衡を放置できないとの考えを示した。

そのうえで「求めているのは互恵的関係だ」と繰り返し、不公
平な貿易・投資慣行の是正を中国に求めた。>(同上)

 

トランプさんの反応、「出し抜いた云々」を抜きにすれば、ほ
とんど日本に関する発言とかわりません。


繰り返しますが、トランプさんが「貿易赤字」を解消しようと
すれば、

まずターゲットになり、批判されるのは中国である。

二番目は日本である。


だから、「批判されても当然だよね」と思っておけばいい。

 

▼では、どうするか?

 

これから、安倍総理と日本はどうすべきなのでしょうか?

中国は、いさましく「貿易戦争を恐れない!」と宣言していま
す。

産経新聞3月23日。


<トランプ政権が中国による知的財産権の侵害を理由に通商法
301条に基づく対中制裁措置を決めたことに対し、在米中国
大使館は23日、


「典型的な保護主義のやり方であり、中国は断固として反対す
る」

とした上で、


「中国は貿易戦争を望まないが、戦いを恐れない。いかなる挑
戦にも対応する自信と能力がある。

米国によって貿易戦争が引き起こされれば、自らの正当な権益
を守るため、あらゆる必要な措置を講じて最後まで戦う」


などとする声明を発表した。>

 

そうはいっても、中国はこれから対米ロビー活動を活発化させ
ることでしょう。

つまり、水面下で「制裁措置を骨抜きにする活動」をものすご
い勢いでするだろうということです。


日本は、そういうことができません。

どうすればいいのでしょうか?


まず、トランプ大統領の主張に「理解を示す」ことです。

そして、「日本政府として、できるかぎりの努力をする」と声
明することです。

安倍総理は、4月にトランプさんと会う。

「それまでに、日本に何ができるかまとめる」といえばいいで
しょう。

そして口だけでなく、「日本は、アメリカから何が買えるかな
?」と実際に検討しなければならない。


国がコントロールできるのは、「武器」ですね。

日本は、「北朝鮮を攻撃できる武器」を持つべきです。

それをアメリカから輸入すればいい。

ただ、「対話の機運」が高まっているので、大声でアナウンス
しないことが大事です。


もう一つは、シェールガスシェールオイルをアメリカから買
うこと。

シェール革命によってアメリカはいまや、

ロシア、サウジに並ぶ産油国

ロシアに並ぶ産ガス国

になりました。


アメリカは今、ロシアとドイツを直接つなぐガスパイプライン

「ノースストリーム2計画」に大反対しています。


「このプロジェクトに参加する企業は制裁する!」と脅迫して
いる。

理由についてアメリカ政府は、「欧州のロシア依存がさらに強
まるから」と説明していますが。

しかし本音は、「アメリカの液化天然ガスを欧州に売りたいだ
け」なのです。

(もう一つ、アメリカの属国ウクライナを守ること。)


というわけで、日本政府は、「アメリカから原油天然ガス
輸入できないか」検討すべきですね。

採算にあうのなら、是非とも買うべきでしょう。


いずれにしても日本政府は、「アメリカから買えるものはない

かな?」と真剣に検討し、対策を講じる必要があります。

 

▼日本は、「嵐の外」にいることが大事

 

現在、世界は1930年代並に荒れています。


・アメリカと中国の「貿易戦争」がはじまるかもしれない

・イギリスは「ダブルスパイ暗殺未遂事件」をきっかけに
対ロシア制裁を発動

・ロシアもイギリスに制裁を発動

・イギリスはEU諸国に「対ロ制裁への参加」を求めている


アメリカ、欧州、中国、ロシアは、戦っている。


日本は、アメリカ、欧州、ロシア、中国と、比較的良好な関係
を築き、現状

「嵐の外」にいます。


これはすばらしいことですが、この状態を維持するためには、

「不断の努力」が必要です。


安倍総理は、早急に「アメリカから買えるもの、日本に必要な

ものは何かな?」を考え、実行していただきたいと思います。


今回は、


ピョンヤンを攻撃できる武器

・アメリカ産、石油・ガス


を例に挙げました。

トランプの主張に理解を示し、日米WIN-WINになる解決方法を
模索していくことが大事です。


●PS(★キンドル版もあり)

北野の新刊でました。


・発売4日で2刷、一か月で3刷決定!

・アマゾン、外交・国際関係部門、国際政治情勢部門、政治入
門部門、トリプル1位を達成。

これを読むと、中国驚愕の対日戦略のすべてと、それを無力化
する方法が全部わかります。

今、世界と日本で起こっていることの裏を知りたい方は、是非
こちらをご一読ください。

 

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う

中国に勝つ 日本の大戦略 プーチン流現実主義が日本を救う