RPE(北野幸伯さんのメルマガ)研究室

RPE備忘録と政治・思想哲学・宗教などの思索

★世界を揺るがす、ロシア人ダブルスパイ暗殺未遂事件

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


イギリスでは、「冷戦2がはじまった!」と大騒ぎになってい
ます。

何が起こったのでしょうか?

 

▼狙われたロシア人ダブルスパイ

 

順番にお話ししていきましょう。

事件は、3月4日に起こりました。

 

<「元英国のスパイ」 ロシア人男性ら重体 「未確認物質に
暴露」

3/6(火) 9:47配信

【AFP=時事】英国警察は5日、イングランド南部のソールズ
ベリー(Salisbury)で60代のロシア人男性と30代の女性が
「未確認の物質に暴露」され意識不明の重体になる「重大事
象」が発生したと発表した。

現地の報道はこの男性はかつて英国のスパイだったと伝えて
いる。>

 

ロシア人男性と女性が、意識不明の重体。

で、男性はイギリスのスパイだった。

これは、なんでしょうか?

 

<スクリパリ氏はロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の元
大佐。

英国のスパイとして活動していたとして2006年にロシアで禁錮
13年の判決を受け、2010年に米国・ロシア間でスパイ交換が行
われた後、英国に亡命していた。>(同上)

 

狙われたスクリパリさんは、もともとロシアの諜報員だった。

ところが、イギリスに情報を提供していた、いわゆる「ダブル
スパイ」だったのです。

ロシアでは、「裏切り者」として有名です。


さて、誰が暗殺を企てたのでしょうか?

そう、皆さんの脳裏にプーチンの顔が浮かびましたね?

イギリス側の発表もそうでした。

 

<元スパイ襲撃、ロシアによる犯行の「可能性大」 英首相

CNN.co.jp 3/13(火) 12:03配信

ロンドン(CNN) 英南部ソールズベリーで4日、元スパイ
のロシア人男性らが神経剤で襲撃された事件について、英国の
メイ首相は12日、ロシアによる犯行の可能性が「非常に高い」
との見方を示した。>


「ロシアによる犯行の可能性が『非常に高い』」そうです。


<メイ氏は下院で、犯行に使われた毒物が旧ソ連で1970
年代に開発された「軍用級」の神経剤「ノビチョク」と特定
されたことを明らかにした。

英外務省がロシア大使を呼び、国家による直接の犯行か、あ
るいは政府が神経剤を管理できなくなっているということか
という点について説明を求めたという。>(同上)


メイさんは、二つの可能性をあげました。


1、国家による直接の犯行

要は、ロシアの諜報機関の指示、最悪プーチン自身の指示で犯
行が行われた?


2、政府が神経剤を管理できなくなっている

つまり、ロシアから盗まれて、犯行に使われた?


どっちなんでしょうか?

こういわれた時点で、「他の選択肢」が考えられなくなってし
まいますね。


犯行に使われたとされる「ノビチョク」とは何でしょうか?

BBC3月13日付が解説しています。


<・ノビチョクはロシア語で「新参者」を意味し、1970年代か
ら80年代にかけてソビエト連邦が秘密裏に作った神経剤グルー
プを指す

・そのうちのひとつ「A230」はVXガスの5~8倍の殺傷能力を持
ち、数分で人を死に至らしめる

・ノビチョ剤は液体あるいは固体だとみられる。ノビチョク剤
のいくつかは、毒性の低い2種類の化学物質の状態で保存され、
混ぜ合わせて殺傷性を高める「バイナリー兵器」だと考えられ
ている

・ノビチョク剤のうち1種は化学兵器としてロシア軍での使用
が許可されているという

・こうした情報はロシアからの亡命者によって明らかにされた

 

化学兵器」なんですね。

そんなものが、イギリスの普通の町で使われるとは、恐ろしい
・・・。

 

▼米独仏は、イギリスの見解を支持

 

この件、イギリス、ロシア以外の国は、どう反応しているので
しょうか?


まず、アメリカ。

先日解任されたティラーソンさん。


<レックス・ティラーソン米国務長官は英国の見解を支持し、
ロシアが関与している可能性が高いとコメントした。

「われわれは、この犯罪の首謀者と実行者が適切な厳罰に向き
合うべきだということで一致した」、

「米国は英国と共にあり、引き続き緊密に対策を練っていく」
国務長官は話した。>(同上)

 

プーチンの親友」といわれるティラーソンさんですが、さす
がにロシアの肩をもつことはできなかったのでしょう。

「親プーチン」として知られるトランプさんも、「ロシアがや
ったのだろう」と語っています。

 

トランプ大統領:英国の元スパイ襲撃事件、ロシアが背後に
いる公算大

ブルームバーグ 3/13(火) 23:17配信

トランプ米大統領はロシア人元スパイが英国で襲撃された事件
について、ロシア政府が背後にいる公算が大きいとの見方を示
した。

事件はプーチン政権と西側諸国との関係をいっそう緊張させる
可能性がある。

トランプ氏は13日朝にホワイトハウスから移動する際、これま
でに明らかになった証拠に基づくと事件の責任は

「ロシアにあるように思われる」

と発言した。 >

 

フランスは?


<メイ首相の報道官によると、首相は12日にエマニュエル・
マクロン仏大統領と会談し、

「ロシアの広範囲にわたる攻撃的な態度について協議し、引き
続き同盟国が一丸となりこれを追及していくこのが重要との見
解で一致した」

という。>(BBC 3月13日)

 

反ロシア、「英仏同盟」ですね。

 

▼イギリス、対ロシア制裁を発動

 

そして、メイ首相は、対ロシア制裁を発表しました。

 

<英国、ロシア外交官23人を追放へ 元スパイ襲撃で

3/15(木) 5:16配信

【AFP=時事】英国で発生したロシア人の元二重スパイに対す
る毒殺未遂事件に関し、テリーザ・メイ(Theresa May)英首
相は14日、英政府はロシア政府に事件の「責任がある」と判断
したと述べ、

同国外交官23人を国外退去処分とすると表明した。

また、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会への王族
や閣僚の出席を含め、高官級でのロシア側との接触を停止す
る意向も示した。>

 

ロシア外交官23人を国外退去に。

政府高官のロシア側との接触停止。


ロシアは反発し、「対抗措置を取る!」と宣言しています。

おそらく、ロシアからイギリス人外交官が追放されるのでしょ
う。


ちなみに、アメリカも翌日、「別件」で対ロ制裁を発動したこ
とに触れておく必要があるでしょう。

 

<<米国>大統領選直前の発動、ロシアけん制か 制裁措置発

毎日新聞 3/16(金) 10:24配信

【ワシントン高本耕太】米財務省は15日、2016年米大統
領選介入に関与したとして、ロシアの24団体・個人を対象に
した制裁措置を発表した。

ロシア大統領選(18日)直前に発動することで、ロシアを強
くけん制する狙いもあるとみられる。

トランプ政権の大統領選介入疑惑に絡んだ制裁措置を発動する
のは初めて。>

 

そして、なんとイギリス、アメリカ、フランス、ドイツが

ロシアを非難する「共同声明」を出しました。

 

英米仏独がロシア非難 元スパイ襲撃で異例の共同声明

3/16(金) 4:20配信

【AFP=時事】英国、米国、フランス、ドイツの4か国首脳は1
5日、英国で発生したロシア人元二重スパイ毒殺未遂事件を受
けて異例の共同声明を出し、ロシア政府を名指しで非難した。>

 

ホント、異例ですね。

ちなみにこの件、ロシア国内ではどううけとられているのでし
ょうか?

プーチンが指示してやらせた」と信じている人は、ほとんど
いません。

なぜ?

ロシアでは3月18日に大統領選挙がある。

大統領選前に、「裏切り者を消せ!」と指示して、「わざわざ
支持率を下げることをするのか?」というのです。


ロシア人の大半は、「(イギリスの諜報)Mi6あたりがやって、

プーチンに罪をなすりつけた」と信じているようです。


どうなんでしょう??


ま、いずれにしてもわかるのは、

イギリスとロシアの関係は、「メチャクチャ悪化している」と
いうこと。

そればかりでなく、

イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、EU、NATOとロシアの
関係が、メチャクチャ悪化している。

 

▼何が起こっているのか?

 

ここ数年の流れを見ると、もっとわかりやすくなります。


2011年、シリアで内戦が勃発しました。

アサドは「反欧米」なので、欧米は、「反アサド派」を支持し
た。

アサドは「反欧米」で「親ロシア」なので、ロシアはアサドを
支援している。

この内戦は、欧米 対 ロシアの「代理戦争」と化したのです。

そして、アサドは、いまだに政権にいる。

つまり、この代理戦争で、プーチンは、欧米に勝っている。

 

2014年2月、ロシアの西の隣国ウクライナで革命が起こった。

そして、親ロシアのヤヌコビッチ政権が倒れ、親欧米新政権が
誕生した。

プーチンは激怒し、翌月クリミアを併合しました。

つづいて、ウクライナ内戦が勃発。

欧米は、ウクライナ新政権を支援。

ロシアは、ウクライナ東部「親ロシア派」を支援しました。

つまり、ここでも欧米 対 ロシアの「代理戦争」が起こ
った


で、現状は?

クリミアは、実質ロシア領になった。

ウクライナ東部のルガンスク、ドネツクは、事実上の独立状態
にある。

つまり、ここでも、ロシアが勝っている。

 


ちなみに、プーチンは、北朝鮮問題で常に「対話派」でした。

日米韓は、「圧力派」だった。

しかし、韓国が寝返って対話派になり、アメリカもつづいて対
話派になった。

ここでも、プーチンが勝っています。


ただ、一ついえることは、シリア、ウクライナ北朝鮮におけ
プーチンの勝利は、

どれも「戦術レベル」である。


欧米は、「大戦略レベル」で対抗しています。

なんでしょうか?

柱は二つ。

情報戦 = あらゆる機会をとらえて、プーチンを「悪魔化」
すべし

経済戦 = あらゆる機会をとらえて、制裁を強化していくべ


それで、プーチン・ロシアは、勝利を重ねるほど、苦しくなっ
ていく。

日本もかつて、こんな感じでやられたのですね。

欧米 対 ロシアの戦い。

どうなっていくか、注目していましょう。


こちらにも注目。

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