RPE(北野幸伯さんのメルマガ)研究室

RPE備忘録と政治・思想哲学・宗教などの思索

★大統領選挙前夜のロシア

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


読者さんから、


「ロシア大統領選が迫っていますが、現地の様子はどうですか
?」


と質問をいただきました。

そうなんです。

3月18日、ロシアでは大統領選挙が実施されます。

しかし、あまり注目されないのは、


「どうせ、プーチンが勝つんでしょ~~~~」


とみんな思っているからです。

私もそう思っています。

しかし、質問が来たので、もう少しディープな話をします。

かなり「通好み」の話になりますが、興味のある方は、ご一読
ください。

 

▼大統領候補は?

 

プーチンでしょ?!」


その通り。

実は、他にも候補がいるのですね。


・グルディニン(共産党

ジリノフスキー(ロシア自民党

・ソプチャク(市民イニシアティブ)

・チトフ(成長党)

・スライキン(ロシアの共産主義者党)

・バブーリン(ロシア全人民連合)

・ヤブリンスキー(ヤブロコ)


なんというか、「右から左」「保守からリベラル」まで「いろ
いろな人がいるよね」という感じです。


この中で、ジリノフスキー、ヤブリンスキー、バブーリンは、

90年代から政界で活躍している「古株」です。


ジリノフスキーは「極右」で、90年代「ヒトラーの再来か?」
と騒がれました。

ヤブリンスキーさんは、著名なリベラル派経済学者。

この二人は、90年代からしばしば大統領選に出馬して、毎回敗
れています。


バブーリンさんは、下院副議長を務めた、「まあまあ大物」と
いえるでしょうか。

チトフさんは、熱心に「企業家の権利保護」に取り組んでいる
方です。

スライキンさんは、今まで全く無名だった人で正体がよくわか
りません。

「ロシアの共産主義者」という政党を率いているので、共産主
義者なのでしょう。


グルディニンさんとソプチャクさんについては、後述。

 

▼現在の支持率は?

 

世論調査基金(FOM)、3月3~4日の調査によると、


1位 プーチン 64%

2位 ジリノフスキー 6.6%

3位 グルディニン 6.5%

4位 ソプチャク 1.2%

他の候補は、1%以下。

 

▼実績ある社会主義経営者グルディニン

 

私は、ロシアの大統領選挙について、「どうせプーチン1強で
全然面白くない」と思っていました。

しかし、案外面白いです。

大統領候補は、平気でプーチンを批判していて、「こんなこ
といっても大丈夫なんだな」と驚きました。

ロシアの大統領候補は、「右から左まで」「保守からリベラ
ル」まで、いろいろいます。

しかし、「この人たちのおかげで大統領選が面白くなった」
と思う候補は、2人です。

一人は、FOMの調査で3位につけているグルディニンさん。

この方は、「共産党系候補」です。

(私は、「面白い」といっているだけで、まったく共産主義者
ではありません。念のため。)


グルディニンは、60年モスクワ生まれ。

95年から、「ソフホーズ・レーニン」の代表を務めています。

ソフホーズ」というのは、国営の「ソ連農場」のことで、共
産主義が崩壊したロシアでは、すでに「死語」になっています。

この用語を聞いて、年配の方は、「なつかしいの~」と思われ
たことでしょう。


グルディニンが経営する「ソフホーズ・レーニン」は、国営企
業ではなく、農業を営む民間株式会社。

ロシアでは優良企業として、一種の伝説になっています。

従業員の給料はロシア平均の2倍で、社員とその家族の教育費、
医療費は全額会社負担。

さらに社員は、マンションや家を購入する際、会社から「無利
子融資」を受けられるなど、至れり尽くせり。


共産主義の理想を実現している」ということで、その名声は
ロシア全土に伝わっているのです。


グルディニンは、外交分野について、プーチンを批判していま
せん。

「クリミアはロシア領」と断言し、「大統領になったら、ラブ
ロフ外相、ショイグ国防相を留任させる」としています。


問題は「経済政策」。

グルディニンは、ロシア経済の苦境について、「新説」を提示
している。

ロシア国民は、現在の経済的困難について、「米欧日による制
裁が原因」と考えています。

その通りでしょう。

同時に国民は、制裁の原因となった「クリミア併合」について
は、「絶対善」と確信している。

つまり、「何も悪いことをしていないのに、制裁を主導するア
メリカがロシア苦難の原因であり、すべてアメリカが悪い」と
いうロジック。

しかし、グルディニンは、「国民が貧しいのは別の理由もある
」と言います。

「石油会社が利益をロシアではなく、オフショアにため込んで
いるのが原因だ」と。

そうなのでしょうか?

わかりませんが、こういう「わかりやすい」説は、庶民にうけ
ますね。

そんなグルディニンは、どんな政策を主張しているのでしょう
か?

・オフショア利用の禁止

・石油会社の国営化(ロスネフチ、ガスプロムは既に「国営企
業」。

しかし彼によると、これらの企業は事実上、「私物化」されて
おり、「真の国営化」を実現する必要がある)

規制撤廃、減税などによる中小企業支援

・公務員給与、年金の大幅増(財源は、オフショア使用を禁止
すれば、すぐ捻出できるとか)


そして、最優先課題は「貧困層をなくすこと」「国民を豊かに
すること」と宣言している。

これらの主張は、年金生活者、公務員、中小企業、貧困層に受
け入れられそうです。

実際、ネット投票では、グルディニン、しばしばプーチンを負
かして1位になっています。

しかし、日本でもそうですが、「ネットの民」と「一般人」は
かなり違うのですね。

たとえば、2014年の都知事選。

ネットでは田母神先生、とても強かった。

しかし、実際の結果は4位でした。

グルディニンさん、ネット世論調査ではしばしば1位になって
いますが、

街の人に話を聞くと、「誰それ?」という反応が多いです。


個人的には、プーチンもグルディニンも1回目投票で過半数
とれず、

決選投票になれば、「面白い」と思いますが。

同時に、「そんなことはないかな」とも思います。


ちなみにグルディニンさんは、こんな顔。

https://www.youtube.com/watch?v=2Dpb7dYvc4Y

 

プーチン元上司の娘クセニヤ・ソプチャク

 

もう一人、「面白い」と思う人は、

クセニヤ・ソプチャクさんです。


この方のお父さんは、アナトリー・ソプチャクさんといいます。

1991年から96年まで、サンクト・ペテルブルグの市長だった。

で、プーチンは、彼の下で副市長だった。

つまり、大統領候補クセニヤ・ソプチャクさんは、

プーチンの元上司の娘」ということになります。


さて、1981年生まれのクセニヤ・ソプチャクさん。

成長してテレビ司会者になりました。

そして、「ドム2」という番組で有名になった。

「ドム2」というのは、

「ひとつの家に、いろいろな男女が住んで、彼氏彼女を見つけ
る」

という番組です。

「アナトリー・ソプチャクの娘が、そんな低俗な番組に出て・
・・・」と非難されていました。


それで、今回彼女が大統領選に出ると聞いて、皆「マジで!?
」と思ったのです。

しかし、大統領候補のテレビ・ディベートを見ると、結構まと
もなことをいっています。

お父さんの血でしょうか。

この方、立場は、プーチンのまさに対極にあります。

「クリミア併合は、国際法違反」と断言し、欧米との和解を主
張。

「ロシアは、検閲だらけで、全然自由がない」とし、「表現の
自由」を求めています。

要するに、「親欧米リベラル」なのですね。


プーチンの娘たちと子供の頃遊んでいた」

プーチンがお父さんのカバン持ちだった時代を知っている」


とのことで、あまりプーチンを恐れていないのでしょうか。

プーチン批判をバンバンしています。

今回の大統領選では、プーチン、グルディニン、ジリノフスキ
ーについで4位でしょうか。


クセニヤ・ソプチャクさんは、こんな顔。

https://www.youtube.com/watch?v=4IRTTKFqdUc

 

プーチン再選で、日本は困らない

 

安倍ープーチンで、日ロは現在、良好な関係にあります。

欧米とロシアの関係が最悪にも関わらず、日ロ関係いい。

これは、安倍総理が「自立外交」をしている証拠ですね。

ロシアとの関係は、特に「対中国」で大事です。

日米関係がよく、日ロ関係もよければ、中国は尖閣強奪に動け
ない。


既述のように、安倍ープーチンで日ロ関係は良好。

だから、「プーチン再選」で、日本は困りません。

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